レーザ加工の危険性

レーザ光はきわめて有用であるが、その反面、目に見えず、金属に当たると反射して思わぬ方向に飛ぶ可能性があるという危険なものでもある。
また、加工機のテーブルも大型化され、速度も上がっていることから、テーブルに挟まれたり巻き込まれたりするおそれもある。
このような危険性を正確に認識し、適確な取扱いをしなければならない。

レーザ光線による障害の防止対策について

<安全に関する規格>

1)人体に対する露光の基準

レーザの安全に関する規格としてはJIS C 6802:2011(IEC 60825-1:2007)「レーザ製品の安全基準 (Safety of laser products) 」がある。
人体に対するレーザの照射がある限度を超えると、皮膚は火傷を呈する。また目は特に鋭敏で、皮膚よりも低い限度で損傷を受ける。
レーザ照射による障害発生率が50%になる値の1/10をMPE(Maximum Permissible Exposure : 最大許容露光量)と呼ぶ。MPEは人体に関する露光量を管理する指標として用いられ、これが危険レベルと安全レベルとの明瞭な境界というわけではない。

2)レーザ発振器のクラス分け

JIS C 6802では、レーザ発振器をクラス1,クラス1M,クラス2,クラス2M,クラス3R,クラス3B,クラス4というように7段階に分類している。
クラス1はどのような条件にも前記のMPEを越えない微弱なものであり、本質的に安全である。
クラス2から上は順次危険度が高くなり、クラス4が最も危険度が高い。
加工に使われるレーザはすべてクラス4に入る

レーザ装置クラス分け表
クラス
合理的に予見可能な運転状況下で安全であるレーザー。どのような光学系(レンズや望遠鏡)で集光しても、眼に対して安全なレベル。人体に障害を与えない低出力(おおむね 0.39mW 以下)のもの。
クラス
1M
集光しなければ本質的に安全。 予知できる合理的な条件の下で、レンズ系を用いてレーザ光を観察しなければ安全 * M: Macroscope 。
クラス
安全。可視光(波長400nm〜700nm)で、目の嫌悪反応(まばたき動作)により障害を回避し得る程度の出力以下( 1mW 以下)のもの 。
クラス
2M
集光しなければ安全。通常は目の嫌悪反応(瞬き動作)により障害を回避し得る程度の出力であるが、光学的手段でのビーム内観察は危険なもの。放射レベルはクラス2と同じ。
クラス
3R
若干危険。直接のビーム内観察は危険で、放射レベルがクラス2の出力の5倍以下(概ね5mW以下)のもの。鍵やインターロックは不要。 。
クラス
3B
かなり危険。直接または鏡面反射によるレーザ光線の暴露(ばくろ)により、眼の障害を生じる可能性があるが、拡散反射によるレーザ光線に対しては眼の障害を生じる可能性の低い出力(連続発振レーザーで 0.5W 以下)のもの。鍵やインターロックが必要。
クラス
とても危険。 散乱されたレーザ光線の暴露でも眼はもとより皮膚にも障害を与える危険性があり、物に当たれば火災を発生させる恐れもあるレーザー(CWで0.5Wを越える)。


加工機本体の危険性について center>